半田付けの基礎知識 [半田付け]
ここでは半田付けとはどういう事なのかを説明します。
理屈が分かってしまえば旨く半田付けをする事が出来ると思います。(多少経験も必要ですが・・・)
まず半田
一般的な半田は共晶半田と言い組成はsn-pb(錫-鉛合金)
そしてエッチングパーツ
エッチングパーツは真鍮製で真鍮の組成はcu-zn(銅-亜鉛合金)
半田付けとはこの真鍮製のエッチングパーツ同士を半田と言う合金で接着させます。
まず間違えてはいけないのは、半田付けは接着剤を使用した接着とは全く違います。
なので半田付けをする表面を荒らす必要は全く無いのです。
溶けた半田が表面の傷に入り込み、固まって2つのエッチングパーツを接着する訳ではありません。
それでは半田付けとは何なのでしょう?
先ずは半田付け失敗の場合。これは主にエッチングパーツの体積に対して半田ごてのワッテージが足りない場合または半田ごてを早く離してしまった場合。つまり熱が足りない場合に起きます。
この場合エッチングパーツ同士は半田によってかろうじて接着している状態になっています。
半田は鉛を主成分とした非常に柔らかい合金なので、これでは引っ張れば簡単に剥がれてしまいます。
どれだけ半田を沢山盛っても強度に変わりはありません。
それでは半田付けが成功した場合
半田付けとは合金を作る事なのです。
くっつけるエッチングパーツ同士と半田を熱する事によって、2枚のエッチングパーツ間に新たに合金層をつくりこれにより2枚のエッチングパーツが接着されます。
先ずエッチングパーツの真鍮材の中には銅が含まれており、熱する事により銅が半田の方へ流れていきます。
そして半田の中に含まれる錫がエッチングパーツの真鍮材の方へ流れます。
これにより2枚の真鍮材の間に新たな合金層が形成されるのです。
半田付けをした後に’フーフー’して冷ますのは早く冷やしてこの合金層を焼きいれした様に強くするためです。
失敗半田付けは熱量が足りず、この合金層が形成されなかった場合に起きるのです。
この合金層により接着している事が分かれば、大量の半田を流し込めば強く接着すると勘違いされている方も、それは無意味だと分かると思います。
半田は合金層を形成させる分(少量)だけで良いのです。合金層形成に使われなかった半田が大量に付いていたとしても、それは接着にはなんら関与してはいません。
それどころか大量の半田は内部の放熱が遅くなり、合金層が焼きなましをした状態になり脆くなる悪影響さえあります。
一般的な半田付け(半田)はこの銅と錫の合金形成によって成り立っているので、例えば銅を含まない材質(アルミ、鉄等)が普通の半田付けでは接着できない理由はここにあります。
それと銅剥き出しのコテ先を使われている方は、半田付けを繰り返す事によって銅のコテ先がぼろぼろになる経験をしていると思いますが、これも銅くわれと言う現象で、コテ先の銅が半田に溶け出す事によって起きる現象です。
銅剥き出しのコテを使う場合は、銅入り半田があるのでこれを使えばコテ先が長持ちします。
半田付けをする際はエッチングパーツの体積に応じた熱容量のコテを使って(これが一番重要です)必要最低限の半田を流し込み全体に熱が伝わったらフーフーして冷ます。
合金層形成に熱が必要とは言っても、何時までもコテをつけた状態にするのはまた良くなく、コテを離すタイミングが重要ですが、半田が溶けて必要な所まで流れて行ったらコテを離せば良いと思います。
以上、’半田付けなんて怖くない!’ ・・・でした。m(_ _)m
理屈が分かってしまえば旨く半田付けをする事が出来ると思います。(多少経験も必要ですが・・・)
まず半田
一般的な半田は共晶半田と言い組成はsn-pb(錫-鉛合金)
そしてエッチングパーツ
エッチングパーツは真鍮製で真鍮の組成はcu-zn(銅-亜鉛合金)
半田付けとはこの真鍮製のエッチングパーツ同士を半田と言う合金で接着させます。
まず間違えてはいけないのは、半田付けは接着剤を使用した接着とは全く違います。
なので半田付けをする表面を荒らす必要は全く無いのです。
溶けた半田が表面の傷に入り込み、固まって2つのエッチングパーツを接着する訳ではありません。
それでは半田付けとは何なのでしょう?
先ずは半田付け失敗の場合。これは主にエッチングパーツの体積に対して半田ごてのワッテージが足りない場合または半田ごてを早く離してしまった場合。つまり熱が足りない場合に起きます。
この場合エッチングパーツ同士は半田によってかろうじて接着している状態になっています。
半田は鉛を主成分とした非常に柔らかい合金なので、これでは引っ張れば簡単に剥がれてしまいます。
どれだけ半田を沢山盛っても強度に変わりはありません。
それでは半田付けが成功した場合
半田付けとは合金を作る事なのです。
くっつけるエッチングパーツ同士と半田を熱する事によって、2枚のエッチングパーツ間に新たに合金層をつくりこれにより2枚のエッチングパーツが接着されます。
先ずエッチングパーツの真鍮材の中には銅が含まれており、熱する事により銅が半田の方へ流れていきます。
そして半田の中に含まれる錫がエッチングパーツの真鍮材の方へ流れます。
これにより2枚の真鍮材の間に新たな合金層が形成されるのです。
半田付けをした後に’フーフー’して冷ますのは早く冷やしてこの合金層を焼きいれした様に強くするためです。
失敗半田付けは熱量が足りず、この合金層が形成されなかった場合に起きるのです。
この合金層により接着している事が分かれば、大量の半田を流し込めば強く接着すると勘違いされている方も、それは無意味だと分かると思います。
半田は合金層を形成させる分(少量)だけで良いのです。合金層形成に使われなかった半田が大量に付いていたとしても、それは接着にはなんら関与してはいません。
それどころか大量の半田は内部の放熱が遅くなり、合金層が焼きなましをした状態になり脆くなる悪影響さえあります。
一般的な半田付け(半田)はこの銅と錫の合金形成によって成り立っているので、例えば銅を含まない材質(アルミ、鉄等)が普通の半田付けでは接着できない理由はここにあります。
それと銅剥き出しのコテ先を使われている方は、半田付けを繰り返す事によって銅のコテ先がぼろぼろになる経験をしていると思いますが、これも銅くわれと言う現象で、コテ先の銅が半田に溶け出す事によって起きる現象です。
銅剥き出しのコテを使う場合は、銅入り半田があるのでこれを使えばコテ先が長持ちします。
半田付けをする際はエッチングパーツの体積に応じた熱容量のコテを使って(これが一番重要です)必要最低限の半田を流し込み全体に熱が伝わったらフーフーして冷ます。
合金層形成に熱が必要とは言っても、何時までもコテをつけた状態にするのはまた良くなく、コテを離すタイミングが重要ですが、半田が溶けて必要な所まで流れて行ったらコテを離せば良いと思います。
以上、’半田付けなんて怖くない!’ ・・・でした。m(_ _)m
半田付け (M1919カートリッジケース組み立て編) [半田付け]
今回はM1919機銃のカートリッジケースを作ります。(VOYAGERMODEL)
物が非常に小さく1cm程度の接写をしているので光が当たりづらく全体的に暗くなってしまいました。
エッチングパーツはこんな感じになってます。半田付けで紹介したタイルの上で、デザインカッターで各パーツを切り離します。
カッティングシートの上でやるとパーツがひん曲がってしまうので堅いものの上でやってください。切り離した後、枝が残っている場合はニッパーでつまんでダイヤモンドやすりで軽くしゅっしゅします。
パーツは折り曲げ箇所に凹ラインが入っているのでピンセットでつまんで折り曲げます。たまに説明書の折り曲げ方向が間違っている場合がありますが、パーツの方を信用して凹ラインを谷折りにします。
ただ折っただけでは開いてしまうので、半田で固定します。コテ洗浄用のスポンジは水を含ませますがびちょびちょにせず軽く湿らせる程度に。びちょびちょにしたスポンジにコテ先をつけると急激に温度が下がってコテ先を傷めます。
半田付けする部分に先の細い筆でフラックスを塗ります。やに無し半田はかなり太いのでいきなりパーツにつけず、一旦タイルの上で少し溶かします。スポンジでコテ先の余分な半田を落とし、先ほど溶かした半田をほんの少しコテ先につけます。
竹串(金属のピンセットなどで押さえるとコテを当てても放熱してしまい半田が溶けません)当で開いたパーツを押し付け折り目の先端に半田が付いたコテ先を当てます。パーツが半田が溶ける温度まで熱くなるとフラックスを塗ったところに半田が流れていきます。必要なところまで半田が流れて行ったらコテ先を離してフーフーしてパーツの温度を下げてください。半田はメッキをしたような感じに薄く引くのがコツです。ぼってり半田を盛ってしまった場合逆に吸着力というか半田の保持力が低下します。盛ってしまうと、半田の内部の温度が下がりにくく金属を焼きなまししたような状態になるためです。
次に蓋を作ります。4隅を折り曲げますが折り代が1mmもありません。エッチングフォールド(エッチングパーツ用プライヤー)がありますのでこれで折り代部分をつまんで金属ブロック当の上に押し付けて曲げます。
次にケース本体を作ります。これも開いてしまうので半田付けします。ケース内側の合わせ目にフラックスを塗ります。
ケース内側の端にコテ先を付けて内側から半田を流し込みます。底の方に半田が回らなかったのでひっくり返して外側からもう一度半田を流し込みます。
蓋に取っ手を付けます。取っ手は適当な径の物に押し付けて軽く曲げてあります。取っ手をひっくり返して半田付けする部分にフラックスを塗り、半田を付けます。(半田メッキすると言います)次に蓋の取っ手を付ける部分にフラックスを塗ります。(こちらは半田メッキをしません)
取っ手の半田メッキした方を蓋側にして蓋の上に載せ、竹串で押さえつけて取っ手と蓋の両方にコテ先が付く場所に半田ごてを当てます。半田付けする2つのパーツ双方を同時に温めるのがコツです。(この時半田ごてには半田をつけません。半田ごての温度で取っ手に付けた半田メッキを溶かします)
蓋と本体をあわせてチョウバンを作ります。両手を使うのでタイルの上にテープで固定して蓋とケースのチョウバン用出っ張りの間にΦ0.3の真鍮線をはさみ、先のとがったもので出っ張りを真鍮線に巻きつけるように丸めます。最後に余分な真鍮線をカットします。
一番最初に作ったのはケースの固定具なので、これは瞬間接着剤でケースに貼り付けます。これを半田付けしようとするとケースをあっためなければならないので、ケースの半田が溶けてまたケースが開いてしまいます。
完成したらフラックスを洗い流します。歯ブラシに洗剤を付けてごしごしやって下さい。ただ、半田付けに失敗している場合パーツが取れてしまうことがあるので水を貯めてやった方が良いと思います。フラックスは塩酸なのでそのまま放置するとパーツを錆びさせてしまいます。
最後に完成品です。
物が非常に小さく1cm程度の接写をしているので光が当たりづらく全体的に暗くなってしまいました。
エッチングパーツはこんな感じになってます。半田付けで紹介したタイルの上で、デザインカッターで各パーツを切り離します。
カッティングシートの上でやるとパーツがひん曲がってしまうので堅いものの上でやってください。切り離した後、枝が残っている場合はニッパーでつまんでダイヤモンドやすりで軽くしゅっしゅします。
パーツは折り曲げ箇所に凹ラインが入っているのでピンセットでつまんで折り曲げます。たまに説明書の折り曲げ方向が間違っている場合がありますが、パーツの方を信用して凹ラインを谷折りにします。
ただ折っただけでは開いてしまうので、半田で固定します。コテ洗浄用のスポンジは水を含ませますがびちょびちょにせず軽く湿らせる程度に。びちょびちょにしたスポンジにコテ先をつけると急激に温度が下がってコテ先を傷めます。
半田付けする部分に先の細い筆でフラックスを塗ります。やに無し半田はかなり太いのでいきなりパーツにつけず、一旦タイルの上で少し溶かします。スポンジでコテ先の余分な半田を落とし、先ほど溶かした半田をほんの少しコテ先につけます。
竹串(金属のピンセットなどで押さえるとコテを当てても放熱してしまい半田が溶けません)当で開いたパーツを押し付け折り目の先端に半田が付いたコテ先を当てます。パーツが半田が溶ける温度まで熱くなるとフラックスを塗ったところに半田が流れていきます。必要なところまで半田が流れて行ったらコテ先を離してフーフーしてパーツの温度を下げてください。半田はメッキをしたような感じに薄く引くのがコツです。ぼってり半田を盛ってしまった場合逆に吸着力というか半田の保持力が低下します。盛ってしまうと、半田の内部の温度が下がりにくく金属を焼きなまししたような状態になるためです。
次に蓋を作ります。4隅を折り曲げますが折り代が1mmもありません。エッチングフォールド(エッチングパーツ用プライヤー)がありますのでこれで折り代部分をつまんで金属ブロック当の上に押し付けて曲げます。
次にケース本体を作ります。これも開いてしまうので半田付けします。ケース内側の合わせ目にフラックスを塗ります。
ケース内側の端にコテ先を付けて内側から半田を流し込みます。底の方に半田が回らなかったのでひっくり返して外側からもう一度半田を流し込みます。
蓋に取っ手を付けます。取っ手は適当な径の物に押し付けて軽く曲げてあります。取っ手をひっくり返して半田付けする部分にフラックスを塗り、半田を付けます。(半田メッキすると言います)次に蓋の取っ手を付ける部分にフラックスを塗ります。(こちらは半田メッキをしません)
取っ手の半田メッキした方を蓋側にして蓋の上に載せ、竹串で押さえつけて取っ手と蓋の両方にコテ先が付く場所に半田ごてを当てます。半田付けする2つのパーツ双方を同時に温めるのがコツです。(この時半田ごてには半田をつけません。半田ごての温度で取っ手に付けた半田メッキを溶かします)
蓋と本体をあわせてチョウバンを作ります。両手を使うのでタイルの上にテープで固定して蓋とケースのチョウバン用出っ張りの間にΦ0.3の真鍮線をはさみ、先のとがったもので出っ張りを真鍮線に巻きつけるように丸めます。最後に余分な真鍮線をカットします。
一番最初に作ったのはケースの固定具なので、これは瞬間接着剤でケースに貼り付けます。これを半田付けしようとするとケースをあっためなければならないので、ケースの半田が溶けてまたケースが開いてしまいます。
完成したらフラックスを洗い流します。歯ブラシに洗剤を付けてごしごしやって下さい。ただ、半田付けに失敗している場合パーツが取れてしまうことがあるので水を貯めてやった方が良いと思います。フラックスは塩酸なのでそのまま放置するとパーツを錆びさせてしまいます。
最後に完成品です。
半田付け (道具編) [半田付け]
愛用の道具達を紹介します。
ワッテージは51Wです。40Wあれば良いと思います。
白いチップを差し替えると温度調整ができ、300°から480°まで設定できますが、ほとんど480°で使ってます。
青い柄の方はホームセンターで良く売られている物ですが、持ち手部分からコテ先までが長くちょっと使いづらいのでコテ先までが出来るだけ短いものが良いと思います。
半田は最近鉛フリー品が出回ってますが、最初は鉛フリーではないものを購入した方が良いと思います。また、フラックスを使いますので’やに入り’ではないものを購入してください。鉛フリー半田は半田の溶解温度が高く濡れ性が悪いので半田付けが難しいです。
フラックスは’板金用’を使ってます。金属は必ず表面に酸化皮膜が形成され、これがあると半田が付きません。フラックスには塩酸が含まれ、これが酸化皮膜を除去し半田が金属に付くようになります。
半田付けをする時にこの上でします。表面にでこぼこの無いものを選んで下さい。10cm四方の物なら¥100程度で買えると思います。
しゅしゅとやって余分な半田を除去するのに使います。
半田ごてであっためて余分な半田を吸い取ります。キサゲ刷毛は半田付けが成功した後に使いますがこれは主に’やっちまった!’という時に使います。
その他エッチングパーツ組み立てに使う道具たちは次回実践編で紹介します。